標本DATA
【種類】 ネブトクワガタ Aegus subnitidus subnitidus ♂
【サイズ】 27.0㎜
【採集場所】奈良県五條市西吉野町
【採集日時】2019年7月19日 11:20
【採集方法】Looking採集(クヌギの樹液周り)
【採集者名】P
Pさんの採集エリアの中に、必ずネブトクワガタが採集できるクヌギがあります。斜面にどっしりと根を下ろしたOver100歳の立派なクヌギです。根元の樹液場には樹皮の捲れなどがたくさんあり、よく見るとけっこうな数が潜り込んでいます。その中で一番大きなネブトクワガタを持ち帰っていただきました。
幼稚園、小学生時代に住んでいた父母の家の周辺にはネブトクワガタの採れる場所がたくさんありました。しかし、採れてもすべて2センチほどのチビ個体ばかりでした。写真のような大アゴの内歯がグッと突き出した個体には出会えなかった。
学生時代に大阪大学のキャンパスで採ったネブトがマイギネスです。おそらく、このPさんのネブトと同じぐらいのサイズだったかと思います。
名前の由来は、大アゴの基部が太いので、根太(ねぶと)クワガタです。私が幼い頃に慣れ親しんだ小型個体も大アゴの根元がしっかり太い!上翅の縦縞が、このクワガタのお洒落感をグッと引き立てています。
もう少し(あと3センチほど…)大きくなる種類であれば、人気上位種(ミヤマ、ノコギリ、ヒラタ)に割り込む力を持っていると思います。見れば見るほど、美しく格好良い!
さて、この標本を見て下さい。何か違和感を感じませんか?
クワガタにとって、とても大切なものがない…
よく観察している子どもさんは、すぐに気付くと思います。
そうです!両方の触覚がありません。
触角は、昆虫の鼻と耳の役割を担っています。自分自身に置き換えてみましょう。もし香りと音が聞こえなければ、日常生活が本当に不便だと思います。
そんな不利な状況を抱えながら、このネブトクワガタは必死に生きていたんですね。
Contributed by HIRO
2023 October