標本DATA
【種類】 ノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus ♀
【サイズ】 35.9㎜
【採集場所】東京都文京区目白台
【採集日時】2021年6月26日 9:15
【採集方法】Looking採集(カジノキ)
【採集者名】Yuko TAMAKUMA(カメのお姉さま)
毎月、第二土曜日に目白台運動公園にてProject WILD KIDS イベントを開催しています。2021年からスタートして今年で3年目に突入しました。ありがたいことに人気でございます。
昆虫採集を通して、魅力的な生きものについて学びを深めていただいています。幼い頃に本物に触れる機会、五感をフル活用して、その感覚に磨きをかけることは、子どもの成長に大きなplusとなります。
3年間、毎月、会っていると…子どもたちはどんどん大きくなります。見た目はもちろんですが、考え方(心)が成長していく。目を見張るものがあります。
危険生物と言われるスズメバチもイライラし始める時期を知っていれば、刺されるリスクはかなり減ります。相手をよく知ることで、多くの危険を回避できる。
子どもたちは、いつのまにかハチまで捕まえてきて私に見せてくれるようになりました。
「ヒロさんが教えてくれたように、今の時期はスズメバチもあんまり攻撃してこないね!8月に入るとダメだね。3メートルは距離をとらないとね!」って得意満面の顔です。カマキリを怖がっていた女の子は手に乗せて観察できるようになったり…子どもたちはどんどん逞しくなります。
そんな子どもたちが安全に楽しめるように、喜んでもらえるようにKIDSイベントの前日は、必ず公園周辺の生き物をCheckして回ります。
その時に仕事の相棒と一緒にこの大きなメスを見つけました。チビ雄(41.8ミリ)がメイトガードしていたのですが、ガードどころか巨大な女性におんぶしてもらって、逆に守ってもらっているように見えました(笑)
だけど、私が捕まえようとするとオスは勇敢でした。
落下して逃げようとはせず、小さな大アゴを振り上げて私の手を威嚇してきます。僕の大切な彼女に手を出すな!私があなた(メス)をお守りします!そんな意気込みが感じられました。
それにしても、このメスは大きい。
「メスは基本リリース!」という私たちのルールに違反しますが、このメスは標本として残す価値があると思いました。
なんと、ほぼ36ミリあります。ノコギリのメスを今までたくさん見てきましたが、35ミリを超えてくるメスはそんなに多くない。ノコギリが多産する地域だと、このサイズはそこそこ採集できるかと思いますが、都会の真ん中(東京都文京区)で、こんな大きなサイズに出会ったのは初めてでした。
小型個体の標本作成は簡単ではありませんが、良い仕上がりだと思います。満足です。
Contributed by HIRO
2023 October