標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ(五島列島亜種) Dorcus titanus karasuyamai
【サイズ】 77.0㎜
【採集場所】長崎県南松浦郡新上五島町
【採集日時】2023年7月13日 22:00
【採集方法】Banana Trap採集(シイ類)
【採集者名】Kaoru MAURA
ヒラタクワガタと言えば、重戦車のようなイメージを私は持っていますが、大アゴが伸びると、こんなにもイメージが変わるんですね。
五島列島に生息するヒラタクワガタなので、ゴトウヒラタクワガタと呼ばれています。
現時点でのGuinnessレコード個体(BE-KUWA認定)と比べると、大アゴが長く少し細身ですが、体長では、まったく引けを取らない立派な個体です。
本個体を採集された眞浦 香さんは、五島で生まれ育ち、幼い頃から生きものが大好きでした。夏になるとクワガタを採ってきてはカブトムシと戦わせていたそうです。
友達と採集に行って初めてヒラタクワガタと出会い、その大きさに度肝を抜かれた!
いや!心(ハート)を射抜かれた模様…笑
その時から、シーズンになるとヒラタクワガタを求めて山通いが始まりました。昔は、かなり大きなヒラタが毎年、採集できたのですが、だんだんサイズが小さくなり、近年では70ミリを超える個体は、そんなに採れない…。
パーソナルベストは80ミリ近い個体を捕まえたことがあるとのこと。
しかし片アゴが根元から折れてしまっていたそうです。
何があったのか?同じヒラタと戦ったのであれば、相手はもっと大きな80ミリ越えのオスだったのだろうか??想像すると楽しくなりますね。
このゴトウヒラタは、久々の75ミリ越え!…どころか77ミリ~
さて、大きな個体は素晴らしく魅力的なのですが、小型個体も悪くない。
ピカピカの光沢がなんともいえない魅力なのです。
さて、なぜ小型のオスに光沢があるのか?ご存知ですか?
これには深~い意味(戦略)があるのです。
先ほど片アゴが折れた特大ヒラタは、さらに大きなヒラタと戦ったのかもしれない!?と書きました。通常、大きく強いヒラタクワガタは、樹液が浸みだす大きな木の洞に陣取って、たくさんのメスとともに暮らしています。ハーレムですね(笑)
メスをたくさん囲い込んで、自身の遺伝子をたくさん残そうとします。
となると、非力で小さなオスは、洞に陣取ることができず子孫を残すことができません。
そこで、小型個体特有のピカピカ(光沢)が力を発揮するのです。
是非、観察していただきたいのですがヒラタのメスはピカピカなのです。
なんと大きな強いオスは、この光沢で雌雄の判断をしているようで、ピカピカの小さなオスをメスと勘違いして、ハーレムに招き入れてしまうらしい…笑
だから、上手く忍び込めば、チビオスにとってもハーレム状態!
素晴らしい戦略でございます。
その知恵に驚かされます。
Wildlife is wonderful!
Contributed by HIRO
2023 October
(⇩外部リンク:ゴトウヒラタ採集時の詳細はブログにて)