標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer ♂
【サイズ】 66.9㎜
【採集場所】三重県志摩市磯部町
【採集日時】2022年7月30日19:16
【採集方法】Looking採集(クヌギ)
【採集者名】Y. Y.
このヒラタクワガタは、クヌギの洞の横にできた樹皮の大きな捲れに入っていました。やはり2頭の女の子とともに、小さなハーレムを作っておられました。捲れは高さ2.5メートルほど…、この場所に行くときは小さな脚立を持っていきます。
このクヌギの樹皮捲れには、毎年かならず、65ミリ以上のヒラタクワガタが入ります。
今年もやっぱり入ってくれていました。Yさんのとっておきのポイントです。
鳥羽市、志摩市、南伊勢町など三重県南部は、温暖で山の水も豊富!ヒラタクワガタも大型個体が多いそうです。
さて、皆さん、ナラ枯れって、ご存じでしょうか?
カシノナガキクイムシという体長5ミリほどの小さな甲虫が原因となります。キクイムシという名前から木をポリポリ食べると思う方が多いと思います。大きな木の中で暮らしていますが、木(材)を食べているわけではありません。材内に掘り進めたトンネルの内壁に「ナラ菌」を繁殖させて、それを食べて生活しています。養菌性キクイムシと呼ばれています。木を枯らしている直接の原因は、この甲虫によって媒介されたナラ菌なのです。
キクイムシの活動が活発になるため、樹木は夏場に枯れることが多く、青々とした山々が赤く染まります。紅葉のように美しい赤ではありません。キクイムシにやられた木は、葉を真っ赤にして落葉せずに枯れてしまうため、景観的にも問題があると感じます。
この厄介な昆虫は、日本国内で勢力を広げています。気候変動(温暖化)が影響していると言われています。
奈良のPさんの採集エリアもそうですが、志摩半島でもYさんの大切にしている木の約7割が枯れてしまいました。クワガタが集まるクヌギやコナラのほとんどは老木です。老齢な木は害虫に対する抵抗力が小さい。樹齢100年以上の御神木と呼べるクヌギやコナラの大木は特に弱い。ガッカリですね。
Yさんは大切なクヌギやコナラを後にするとき、「来年も頼むよ!元気で!」と老木に手を置いて話しかけてしまうそうです。
Contributed by HIRO
2023 October