標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ Dorcus titanus ♂
【サイズ】 65.9㎜
【採集場所】鳥取県鳥取市
【採集日時】2022年7月9日 20:00
【採集方法】Looking採集(クヌギ)
【採集者名】Y. SHIMODA
鳥取県の神社周りにある大きなクヌギで採集できたヒラタクワガタです。下田さんたちのとっておきの場所になります。下田さんは地元の気の合う仲間とその子どもたちと一緒に昆虫採集を楽しまれています。そのチーム名は「あぶく企画」とのこと…。
なぜ「あぶく」なのか少し気になる(笑)
左の小顎髭(しょうがくし)が切れていますが、大アゴの摩耗も比較的少なく、綺麗で立派なヒラタクワガタです。何度となく伝えてきましたが、本州で65ミリを超えるヒラタクワガタは、そんなに採れません。
「鎮守の森」って御存じでしょうか?
地域(村)を守ってくれる神さまが降臨する森です。森が豊か(元気)であれば、神さまはご機嫌に暮らしてくれますが、森が荒れると神さまは去って行かれます。守ってくれる方がいなくなると、その地域に様々な不幸(天災など)が起こる。昔の人々はそう考えていました。
いえ!今でもその考えは脈々と日本人の心に受け継がれていますね。
古くから神道の教えとして、山や森、湖や川、滝などの自然には神様が宿っておられる。森全体が神域と考えられているため、周辺で大規模な開発が起こっても、その森だけは大切に残された。
神さまの力で、こんな大きなヒラタクワガタが成長できる豊かな森(自然環境)が守られているのです。下田さんはメスを残してくれますので、この場所で、毎年、立派なヒラタクワガタが見られると思います。
そうそう宮崎駿さんの映画には鎮守の森がよく登場しますね。この森が、生物多様性を守る重要な役割を担っていることを宮崎駿さんは、よくわかっていらっしゃる。多くの人に愛されているジブリ映画のポイントとなるのは「自然観」です。なぜその自然を守らないといけないのか?その答えは、そこに神さまがいるからです。これは日本の伝統的な考え方、教えの一つだと感じます。神秘的であり、豊かで温かいものです。自然を敬い、自然のおかげで私たちは生かしていただいている! 人間はこの気持ちを忘れてはいけませんね。
Contributed by HIRO
2023 October