標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ(大東諸島亜種)Dorcus titanus daitoensis ♂
【サイズ】 48.8 mm
【採集場所】沖縄県島尻郡南大東村池之沢(大東諸島南大東島)
【採集日時】2019年1月10日
【採集方法】材割採集(モクマオウの大径木)
【採集者名】Y. Y.
大東島で採集された方々から聞いた話ですが、30ミリ台がほとんどで、40ミリを超える個体は非常に少ないそうです。そして、50ミリに迫る48.8ミリはかなり大きいのです。
島全体が乾燥していて、幼虫が好むちょうど良い湿り気が保たれた朽ち木が少ない。樹液が出る木もほとんどなく、ライト(光)にも集まらない、バナナなどの果実トラップをしかけても、イマイチ集まってくれないそうです。見つけるには倒木を探すしかありません。
そして、ライフスタイルも面白い。成虫になるとほとんど食べずに結婚相手を探し、飛翔して遠くに移動することもなく近くの朽ち木に産卵する。1年を通して温暖なため、冬でも朽ち木の中で活動しているようです。他の地域のヒラタクワガタと比べると、かなり特異な生活スタイルを持っているようです。すべての野生動物は生きていくために、その生息環境にあわせて適応していきます。適応方法は様々です。この大東島の気候、風土に合わせた生活スタイルを、このヒラタクワガタは作り上げたのですね。
標本を見て下さい。触角がピシッと左右対称になっていないのがイマイチですが、そこそこ満足いく仕上がりです。大アゴが短いのでコロッとした可愛い感じのヒラタクワガタです。やはりダイトウヒラタクワガタは赤いですね。愛らしく美しいヒラタクワガタだと思います。
Contributed by HIRO
2023 October