標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ(宝島亜種)Dorcus titanus takaraensis ♂
【サイズ】 57.5 mm
【採集場所】鹿児島県十島村宝島(女神山)
【採集日時】1997年2月15日
【採集方法】材割採集(タブ)
【採集者名】Tatsuhiko HAYASHI
鹿児島県十島村にあるトカラ列島は、クワガタ好きの方にとっては憧れの場所だと思います。この島々に生息するノコギリクワガタはなんとオレンジ色なのです。ただでさえフォルムが格好良くて人気のノコギリクワガタに美しい色までplusされたら鬼に金棒ですな。そのトカラ列島の一番南に位置する有人島がこの「宝島」です。
サンゴ礁が隆起して出来上がったそうで、ハートの形をしている島と言われています。私はどうもハートには見えない…。島名の由来は、遠い昔に英国海賊キャプテンキッドが財宝を隠したという古い言い伝えからきています。美しいサンゴ礁とエメラルドグリーンに囲まれた、まさにTreasure Islandですね。
さてさて…話の流れから、そんな素敵な島にオレンジ色のノコギリクワガタが生息していそうなのですが…いないのです。その代わり?に太くて立派なヒラタクワガタがいます。宝島に住んでいるためタカラヒラタクワガタと名付けられました。なんと宝島で見られるクワガタは、この1種だけ!宝島を独占?しているのです。
さらに、この個体は女神山で採集されました。宝島の女神さまが住む山…なんとありがたい。
採集された林さんのお話によると、この個体は2月の材割採集で得られました。タブの立ち枯れの根っこの固い部分から出てきたそうです。幼虫は比較的柔らかい白腐れした状態の良い材を好みます。成虫は材の表面部分の少し硬いところに蛹室を作っている個体が多いようです。
標本を良く見て下さい。大アゴにタカラヒラタクワガタの特徴がよく出ています。太い大アゴ、第一内歯は大アゴ基部近くにギザギザもしっかりしています。太めが好きな人は、まず一目ぼれすると思います。この島のヒラタクワガタの大きな特徴になります。変異が多いヒラタクワガタも、この島のヒラタクワガタは、他の地域の亜種と比べても見分けやすいと思います。宝島に住むヒラタクワガタは色んな意味で別格でございます。
Contributed by HIRO
2023 November