標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ(壱岐亜種)Dorcus titanus tatsutai. ♂
【サイズ】 77.3 mm
【採集場所】長崎県壱岐市芦辺町
【採集日時】2023年8月20日 8:00
【採集方法】Looking採集(アキニレ)
【採集者名】Zebra HUNTER
太いですよね!
頭部と前胸背板を眺めていると、世界最大クラスのアルキデスヒラタクワガタDorcus alcides(スマトラ島特産種)にも見えてきます。対馬、壱岐、五島のヒラタクワガタたちは大アゴが長いためスラっとした印象があります。しかし、この個体はアゴが少し短いこともあるのですが、驚くほど横幅があります。こんなのが樹液周りにとまっていたら、絶対興奮すると思う。対馬、壱岐、五島の3島のヒラタクワガタを比較すると、対馬、五島は大アゴが長いタイプが非常に多い。しかし壱岐は長歯タイプと本土亜種のような少し大アゴが短いヒラタクワガタが混ざります。本個体は、まさにその本土タイプ寄りです。いや…やはりアルキデス寄りです。人間に例えますと、ベンチプレス200キロくらい上げそうなマッチョな男子です。
さて、採集された方のニックネームはゼブラハンターZebra Hunterでございます。サッカーの中田英寿選手がイタリアのセリアAで活躍されていた当時、ユヴェントスJuventus FC.と対戦するとよく得点したことからゼブラハンターと呼ばれていました。黒と白の縦縞ユニフォームのユヴェントスを「シマウマZebra」に見立てたのですね。
中田選手の大ファンであるゼブラハンターさんによると…
壱岐は軽く70ミリを超すヒラタクワガタがたくさん生息していると思っている方がいるのですが、実際、70ミリもそんなに採れません。75ミリ超えは非常に少ない。そして、この77ミリplus横幅が大きい個体は非常に「稀」です。なかなかお目にかかれないのです。
標本をよく見て下さい。アゴ先と内歯も少し摩耗していますね。左の小顎鬚が切れています。このフワフワのブラシ状の口器paraglossaで樹液や甘いものを舐めて吸収するのです。右前脚の爪先が折れているため、上手く伸ばすことができませんでした。よく観察することは大切です。それにしても惚れ惚れする立派な「体躯(たいく)」です。
子どもたちも頑張って読んでくれていると聞きますので、少し国語の勉強です。「体躯」と「体格」は、ほぼ同じ意味ですが、どう使い分けるのか?
「体躯」は外見から見た特徴を主観的にとらえています。「体格」は身長、体重、栄養状態なども含めて、とらえている時に使うそうです。ですので、今回の場合は、「体躯」を使う方が良いと思いました。
さて、こんな難しい漢字は子どもさんには…と言う方もいると思いますが。Project WILDの一つの教え方なのですが、あえて難しい言葉(単語)を子どもたちにどんどん入れていく!英語で難しい言葉と言うのは長い単語Long Wordです。例えば、Environment(環境)、Biodiversity(生物多様性)などもそうです。子どもたちは難しい単語を知ると、「こんな難しいことを知ってるんだよ!」って親(大人)に自慢できる!褒めてもらえると、もっと嬉しくなって頑張ろうとする!そんな効果を狙っているようなことをアメリカの指導者(友人)が説明してくれました。私は妙に納得できました。
Contributed by HIRO
2023 November