標本DATA
【種類】 ヒメオオクワガタ Dorcus montivagus montivagus ♂
【サイズ】 54.5 mm
【採集場所】愛知県北設楽郡設楽町
【採集日時】2022年1月6日
【採集方法】材割採集(ブナ立枯れ)
【採集者名】M. S.
Sさんの自己記録サイズです。極寒の1月に材割で採集できた新成虫です。立ち枯れたブナの根っこから現れました。
寒中登山をして何も出会えないと、辛い修行のようになってしまいますが、こんな特大個体に出会えると報われますね。素敵なお年玉でございます。
ヒメオオクワガタの幼虫は非常に硬い材を好みます。ブナやミズナラの根っこ部分に入っています。それにはおそらく色んな意味があるのです。
各種のクワガタたちは種間競争を避けるため、種類毎のニッチを持っています。住み分けをしているのです。例えば、標高によって、見られる種類が変わってきますし、木の硬さ(腐朽具合)によって、入る(食べる)幼虫も変わってきます。
簡単に言いますと、硬めの材にはオオクワガタやヒメオオクワガタの幼虫が入り、水分の多い柔らかい材には、ノコギリクワガタやヒラタクワガタが好みます。もっと腐朽が進んでかなりフレーク状になったものはミヤマクワガタ、さらに腐朽が進んで土状になった腐葉土はカブトムシが喜びます。同じ枯れ木の状態によって、争いを避けて上手くすみ分けているのです。生きるための知恵なのです。
これらの戦略をクワガタたちは、どのように手に入れたのだろうか?生きもののことを知れば知るほど興味が湧きますね。
標本を見て下さい。大アゴが滑らかにカーブを描いて、なんと格好良く美しいこと。標本の出来栄えも非常に満足です。
Contributed by HIRO
2024 January