標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer ♂
【サイズ】 67.0 mm
【採集場所】和歌山県田辺市高雄
【採集日時】2023年6月22日 4:00
【採集方法】Looking採集(クヌギの洞)
【採集者名】S. MIYAZAKI
かなり太いヒラタクワガタです。大アゴが短い(短歯型)のに67ミリもある大きな個体です。お尻が大きくデブっとして、なんとも格好良い。
大アゴの摩耗が激しく内歯も大きく削れています。おそらく昨年(2022年に)、羽化した個体と思われます。自然下で長く生きてきた証拠ですね。
大きなクヌギに開いた深い洞に陣取っていたそうで、姿は見えるのだけど、近づくとサッと奥に隠れてしまい、なかなか採集できなかったそうです。かなりの大型個体なので、何度も何度もその木に足を運んで、やっと洞から引っ張り出せたのが…明け方の4時…頑張りました。これだけ立派なヒラタクワガタですので、洞の中にはおそらくメスが隠れていたと思われます。メスをそのままにしてくれたことも嬉しいですね。メスたちが、この太っちょの遺伝子を受け継ぐ子どもたち(卵)をたくさん産んでくれると思います。
MIYAZAKIさんの素晴らしいところは、木(洞)を大きく傷つけることなく採集されたことです。最近はあまり聞かれなくなりましたが、洞に隠れたオオクワガタを手に入れたいがために、発煙筒を使う方がおられました。「黒いダイヤモンド」を手に入れるために洞の入口に発煙筒を突っ込んで燻し出すのです。そうすると洞は数年ダメになります。赤い色とすごく嫌な臭いが残るのです。また、酢酸エチルや消毒エタノールを樹洞に散布して採集される方もおられました。虫は苦しくなって(嫌がって)、洞の外へ出てくるのですが、薬物使用も止めていただきたいと思います。皆さま、採集マナーを守って、自然環境にやさしい昆虫採集(体験)をお願いします。
採集されたMIYAZAKIさんの努力に応えるためにも標本制作に気持ちが入りました。出来栄えは、小顎鬚(こあごひげ)もしっかり決まり良いと思います。
Contributed by HIRO
2024 February