標本DATA
【種類】 ノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus ♂
【サイズ】 67.8 mm
【採集場所】山形県西置賜郡小国町
【採集日時】2023年8月19日 19:30~22:30
【採集方法】Light Trap採集
【採集者名】Tadashi SAITO
「ヒロさん、友人が山形で良型のノコギリを採集しました。Museumにどうですか?」と、いつもながら、ありがたい連絡をCassiopeia君からいただきました。
ほしいです!と飛びついた個体がこれです。
立派なノコギリクワガタが齋藤さんと鈴木さんのライトトラップに飛来してくれました。
お二人の狙いは、オオクワガタでございました。標高400メートルほどの開けた場所に発電機を2台使って1000Wライトを4連点灯。その日は恐ろしく蒸し暑い熱帯夜だったそうです。その強力な光に魅かれて、やってきた山形県内では、かなり大きなノコギリクワガタです。私が所持している山形県産ノコギリの最大個体でございます。
標本を見ると、なんだかシンプルに感じます。大アゴのギザギザが小さいからだと思います。全体的にバランスの良いノコギリクワガタですね。
上翅に挟まれたような浅い傷が少し見られますが、完全体と呼べる個体です。
昆虫は爪の間に爪間盤(そうかんばん)または褥盤(じょくばん)と呼ばれる構造を持っています。標本をしっかり観察してみましょう。爪の間に細い小さな爪のようなものが見られますね。先端にある細かい微毛を介してクワガタたちは足(爪)先の細かい感覚を捉えているのです。この爪間盤(そうかんばん)は、繊細な構造であるため、途中で切れていたり、根元から無くなっていることが多いです。この個体はすべての爪間盤(そうかんばん)が揃っています。
勝手な想像ですが、この個体は活動を開始してから、それほど時間が経たないうちに光源(ライト)目がけて飛んだのかもしれませんね。
標本の出来栄えは非常に良いと思います。自画自賛できるところは、小顎髭(こあごひげ)と触角の整形です。特に小顎鬚は癖がついてしまっている個体が多く、意外に上手く決まりません。触角も真っすぐ伸びて、ピシッと直角、美しいと思います。
Contributed by HIRO
2024 March