標本DATA
【種類】 ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus ♂
【サイズ】 体長76.8㎜、頭幅 21.3mm
【採集場所】兵庫県穴栗市
【採集日時】2009年6月24日
【採集方法】Looking採集(クヌギ)
【採集者名】C. S.
なぜミヤマクワガタって、こんなにファンが多いのでしょうか?
ゴツゴツした大アゴと頭部の張り出しが素敵。その形状には地域差、個体差があって面白い。そして何より美しい微毛で体が覆われています。脚の基部はお洒落なオレンジ色。
「なんか神々しい感じがするんだよね!」
「深い山に住んでいるから、神さまの遣いだよ!」なんて言っている人もいらっしゃいます(笑)
ここ最近、少し理由があってミヤマクワガタばかり掲載していますが、どのミヤマクワガタも同じ形状の個体はいません。うちのカミさんに言わせますと、「全部、同じじゃない!」と一蹴されそうですが…そんなことはありません。
スラっと細身の個体、驚くほど太い個体、大あごの形状は多様です。赤みの強い個体もいれば、かなり黒い個体も見られます。
さてさて、ここで皆さんに質問です。ミヤマクワガタは、どうして体に微毛を纏っているのでしょうか?ワークショップやイベントで子どもたちに話をさせて頂くとき、動物の色や形などには全て意味があること(あるはず)をお伝えしています。
身を守るために硬い外骨格を発達させたり、くすんだ色合いは敵に見つからないようにカムフラージュCamouflageの役割を担っていたり。そんなことを考えながら観察すると、私は楽しくなります。なるほど、こんな敵がいるから、この能力(機能)を発達させたんだな!なんて知ると、さらに興味が増してきます。
さてさて、ミヤマクワガタの体毛は…
様々な意味(意見)があるのですが、一番はやはりカムフラージュに力を発揮していると考えられています。多くのクワガタやカブトムシは暗くなってから動きが活発になります。しかし、ミヤマクワガタは太陽が燦燦と輝く昼間も精力的に動き回っています。金色の微毛が太陽光に照らされると、白っぽく輝き(白銀)、明るい林内の色合いに上手く溶け込むのです。また、雨が降るとクヌギやコナラなどの樹皮はかなり黒く見えます。ミヤマクワガタも雨に濡れると黒くなるんです。ミヤマクワガタの体毛は身を隠すことに一役買っているのです。
もちろん、他にも意味があると思います。いつも言うことですが、よく観察し不思議に思ったことを、考えてみることが大切です。
さてさて、このミヤマクワガタを見て下さい。
この個体の体毛は、金色よりも銀色に見えます。おそらく体の色合いが少し黒っぽいタイプだからでしょうか?白銀色がなんとも言えない美しさを醸し出しています。
この個体も77ミリに開いたノギスがカチッと当たっていたのですが、真空乾燥でしっかり水分を抜いたら、ほんの少し小さくなってしまいました。ムムム…
でも、兵庫県内で採集されたGuinness級のミヤマクワガタであることは間違いありません。
多くの生きもの好きが憧れる種類です。
Contributed by HIRO
2024 April