標本DATA
【種類】 オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus ♂
【サイズ】 60.2㎜
【採集場所】福島県南会津郡桧枝岐村
【採集日時】2023年4月16日 8:47
【採集方法】材割採集(ヤマハンノキ)
【採集者名】Cassiopeia
Cassiopeia君が初めて材割りで得たオオクワガタ(成虫)になります。おまけに、狙っていたのはクワガタではありません。Cassiopeia君がミヤマクワガタの次に情熱を注いているマイマイカブリでした。
さて、採集状況を詳しく伺いましたので、Cassiopeia君の目線で私なりにStoryをまとめてみました。
今日は曇り空、標高も900メートル程、吐く息は白く、かなり冷え込む朝でした。桧枝岐村はヒメオオクワガタが有名ですが、オオクワガタも生息しています。昔、オオクワガタを採りたくて、何度か足を運んだなぁ~。そんなことを考えながら歩いていると、目の前に大きなヤマハンノキの立ち枯れが2本現れました。早速、1本目の立ち枯れを割ってみました。この立ち枯れは、上部で折れていましたが枝もたくさん残り、生きていた時の状態が良く残っています。幹の内部が地上から1メートルぐらいまで柔らかく朽ちていたため軽く崩してみたのですが、狙ったマイマイカブリはいらっしゃらなかった。2本目の立ち枯れは、高さ2メートルほどで上部は、腐朽が進んでカブトムシ幼虫が好みそうな土状になっていました。これまでの経験でマイマイカブリが好みそうな環境だったので期待したのですが、クロナガオサムシが住んでおられました。それでも、あきらめず、もう少し削ってみるとクワガタの食痕が現れたのです。オッ!と思って、食痕を追ってみると太い…これはもしかして…昔、追い求めたクワガタさんかも…ワクワクしながら慎重に削って行くと蛹室がポッカリと現れました(喜)
しかし…中の物体が真っ黒です。大歯のオオクワガタ蛹がお亡くなりになっておられました。あ~なんとも…。でも、まだ入っているかもしれない!と思い、慎重に割り進めてみると、このオオクワガタ(本個体)が出てきてくれました。ただ中脚の動きがイマイチ、後脚はほとんど動きません。蛹室の下部に溜まった水が、脚を麻痺させた原因に思えました。もし私に見つからなければ、おそらく、このオオクワガタは、そのまま蛹室から脱出できずにお亡くなりになっていたように思います。そして、さらに削り進めると、これは完全体!と言える元気なオオクワガタ(大歯)が出てきてくれました。お亡くなりになった個体を含めると、この2メートルほどの立ち枯れの中に4頭のオオクワガタが住んでおられました。うまく蛹までなれても材の腐朽状態、水分条件、はたまた病気などの影響で、成虫になれない個体も多い。やはり自然の中で無事、成虫になることは難しい。
2頭の大歯を得たCassiopeia君は気を良くして隣の立ち枯れの上部も少し削って見たそうです。すると食痕が現れ、追いかけてみると蛹室そして外への脱出口を発見しました。その大きさから、おそらくオオクワガタに間違いないとのこと。
滅多に出会えない天然のオオクワガタ!こういう出会いがあると、それまでの苦労や辛いことが吹き飛びますね。
標本の出来栄えは、二重丸です。中脚、特に麻痺している後脚が軟らかくて(羽化して数時間後の外骨格が固まっていない感じ)、整形に苦労しました。でも、美しく仕上がったと思います。
体に赤みがあって、とても美しいオオクワガタですね。
もう1頭のオオクワガタは、今もCassiopeia君が大切に飼育しています。大きさは本個体より少しだけ大きい60.6ミリだそうです。
Contributed by HIRO
2024 June