標本DATA
【種類】 ヒメオオクワガタ Dorcus montivagus montivagus ♂
【サイズ】 54.1㎜
【採集場所】岩手県八幡平市(奥羽山系)
【採集日時】2023年7月28日 13:00
【採集方法】Looking採集(ダケカンバ)
【採集者名】T. F.
岩手県の八幡平市で採集された大きな個体です。八幡平市は標高1,300~1,600メートルの山岳地帯(奥羽山系)が広がっています。年平均気温が6度、真冬には氷点下15度以下になることもあります。おまけに冬は強風(猛吹雪)が吹き荒れます!知れば知るほど…寒い場所ですね。人間が住むには厳しい環境だと思いますが、7~9月には冷涼で雨も多く、ヒメオオクワガタにとっては楽園なのです。
ただ良い生息環境が維持されているとはいえ、本個体のような立派な個体には滅多に出会えません。Fさんの話によりますと、大きくても53ミリほどで、54ミリ越えが採れたのは初めてだそうです。カンバ類が主体の林を丁寧にルッキングして見つけた個体です。ダケカンバの枝先にしがみついていました。すぐにかなりのサイズであることがわかったそうで、網で慎重に取り込みました。
標本を見て下さい。脚が長くてスラっとしたイメージのある種類ですが、大きくなるほど、頭部の幅がグッと広がり迫力が感じられます。ゴツゴツ感がないため、なんとも言えない力強さと滑らかな美しさを兼ね備えている。
私が知る限りですが、各地のヒメオオクワガタの多くは9月に入ってから個体数が増していきます。これだけ大きな個体が7月末に採集された。特大クラスも早くから活動を開始している。私がよく話すことですが、もしかしたら気候変動が影響しているのかもしれませんね。
Contributed by HIRO
2024 July