標本DATA
【種類】 ヒメオオクワガタ Dorcus montivagus montivagus ♂
【サイズ】 51.7㎜
【採集場所】宮城県栗原市
【採集日時】2023年8月5日 9:00
【採集方法】Looking採集(ヤナギ類)
【採集者名】Yusuke TAKAHASHI
高橋&熊谷ペアの2023年の最大個体になります。
ヤナギの細枝にくっついているのを発見しました。脚の長いクワガタですので、しがみついている!と言った方が良いですね。
今年は暑い日が続き、ヒメオオやアカアシは良い成果が出ていないそうです。と言っても52ミリ近いヒメオオ(本個体)が採れるのですから、栗原市の自然環境が素晴らしい。いやお二人が採集上手なんですね。
さて、ヒメオオクワガタは標高が高いブナやヤナギの林があれば見られるというわけではございません。どの地域でも局所的に分布しているため、行けば採れるクワガタでは決してない。幼い頃の私は昆虫図鑑をたくさん持っていました。当時(1970年代)、市販されていた昆虫図鑑はすべて持っていたように思います。しかし…私が持っていた多数の昆虫図鑑にヒメオオクワガタは掲載されていませんでした。ある日、デパートの本屋さんに出かけた時、小学生の私には手が届かない棚の高い位置に並んでいる図鑑を見つけました。ケース入りの高そうな図鑑でした。本屋さんのお姉さんに取ってもらって開けてみると、見たこともないクワガタが図示されていて驚いたことを鮮明に記憶しています。私が知る限りですが、当時、ヒメオオが掲載されていたのは保育社の原色日本甲虫図鑑(上)甲虫編だけでした。その時は買ってもらえませんでしたが、さんざん駄々をこねて、数か月後に私の手元へ!3,400円もする高額図鑑を小学生に買い与えてくれた父と母に今でも感謝しています。
当時はヒメオオの生態がよくわかっていなかったため、登山を楽しむ人が、山道を横切って歩くヒメオオクワガタに偶然出会う!狙って採集できるクワガタではない!そんな幻のクワガタだったのです。
今でこそ、クワガタ研究に情熱を注がれた方々の努力のおかげで生態も解き明かされ、狙って採集できるクワガタになりました。
…と言っても、珍しいクワガタであることは間違いありません。
珍しい!滅多に見られない!なんて思いながら眺めると…このクワガタがより格好良く見えてくるから不思議ですね(笑)
Contributed by HIRO
2024 July