標本DATA
【種類】 ノコギリクワガタ(原名亜種) Prosopocoilus inclinatus inclinatus ♂
【サイズ】 56.2 mm
【採集場所】東京都文京区目白台
【採集日時】2022年11月2日 10:00
【採集方法】Looking採集(クヌギの樹液周り)
【採集者名】Yuko TAMAKUMA(カメのお姉さま)
「BOSS!クワガタを捕まえました!」って満面の笑みでカメ姉さまが目の前に持って来たときは、けっこう驚きました。採集日を見て下さい!11月ですよ…笑
ノコギリクワガタは寒さに強い種類ではありません。気候変動(温暖化)も少なからず影響していると思われます。スズメバチが活動しなくなったため、樹液の出は格段に悪くなっていますが、それでもクヌギの一番良い場所で元気に食事をされていたそうです。
多くの方々が知らないことなのですが…特に温かい地域ではノコギリクワガタは年に2回発生します。1回目は6月ぐらいから出始めます。そして、2回目は9月の終わりから10月初めにかけて発生するのです(※)。4~5年ほど前だったか…友達に秘密場所(とっておきのクヌギ林)に連れて行っていただきました。住宅地の傍らにある小さな緑地なのに、驚くほどたくさんのノコギリクワガタが観察できました。数本のクヌギを見ただけなのですが、虫カゴがクワガタで溢れました。30匹以上は採れたかと思います。夏休みシーズンだと数匹見つかれば良い方なのですが…この時期に採れることを、みんな知らないのでしょうね。誰も採りに来ないと、こんなにたくさんいるんだなぁ~とあらためて思いました。さて、私の友達の素晴らしいところは必要な分だけしか採らないことです。その日は結局、採れたクワガタをすべてリリースしてきました。彼は自然の中でクワガタに出会うのが、たまらなく好きだそうです。来年もクワガタたちに出会うために全部採ることはしません。特にメスは全てリリースしてくるそうです。素晴らしい考え方だと思います(大いに賛同)。
さてさて、標本を見て下さい。本個体も間違いなく秋に羽化してきたと思われます。アゴ先や体表の擦れもほとんどなく、ピカピカの新成虫です。目白台で見られるノコギリクワガタとしては、大アゴの湾曲が素晴らしい。
標本は、私の不注意で展脚中に右触角と左後脚のフセツを折ってしまい、木工用ボンドで修理しています。特に右触角は3つに折れてしまいました。写真でよく見て下さいませ。修理の出来栄えは…SOSO(イマイチ)…。少し残念な感じでございます。
※クワガタの発生時期についてですが、地域によっても違いますし、年によっても変化します。生きものたちは常に変化しています。
Contributed by HIRO
August 29, 2024