標本DATA
【種類】 マダラクワガタ Aesalus asiaticus asiaticus ♂
【サイズ】 5.5 mm
【採集場所】岩手県二戸市浄法寺町
【採集日時】2020年11月8日 10:00~14:00
【採集方法】材割成虫採集
【採集者名】Katsuya YOSHIKAWA
タイトルにも書きましたが、そうなんです。日本で見られる最も小さいクワガタになります。クワガタと言うと名前の通り、大きな鍬のような大アゴが特徴なのですが、マダラクワガタを見ると…無い…いやいや、よく見てみると小さなハサミのような大アゴがありました。
外見だけではオスとメスの見分けもつけられるかどうか??…私は…怪しい。メスの方がさらに大アゴが小さいです。どちらにしてもクワガタらしくないクワガタムシでございます。
名前の「マダラ」は、体表がマダラ模様になっていることからきています。そのマダラは茶色の斑点模様で、その部分が盛り上がっています。良く見てみると盛り上がっているのはブラシ状の毛がフサフサと生えているからなのですね。そして上から見ても丸いですが、横から見ても丸い!クワガタムシは平べったい!というイメージが覆されます。見れば見るほどクワガタムシらしくないクワガタムシでございます。
本個体を採集された吉川さんの話によりますと、岩手県内では北三陸の海が近い山から奥羽山地の山奥まで広範囲に分布しているそうです。比較的標高のあるブナ林であれば、普通に見られるクワガタとのこと。ただマダラクワガタを狙って採集しに行くことはないそうです…あまり人気がないかもしれません。おそらく小さすぎるからでしょうか(笑)
ツヤハダクワガタ(幼虫)が好む赤枯れ材をマダラクワガタも好むため、ツヤハダ狙いで出かけると副産物として得られるそうです。腕くらいの細い枯れ枝に大量に入っていることもある。新成虫は材の表面に近いところに蛹室を作っていることが多いため、発生材を見つけたら慎重に浅く表面を削って、見つけたらピンセットで取り出します。ケースに回収する前に地面に落とすと、再発見はほぼ不可能とのこと。それだけ小さなクワガタでございます。
さて、このONLINE展示をスタートした時から撮影し続けてくれているカメラマンYuhei OONOは、どんどん腕を上げています。ただ流石のOONOも日本最小クワガタムシの写真撮影は簡単ではありません。かなり苦戦しておられました…笑
写真を見ながら、じっくり観察してみて下さい。裸眼では観察しにくいところも写真だと見えてくるかもしれませんよ。
Contributed by HIRO
September 2, 2024