標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer ♂
【サイズ】 65.0㎜
【採集場所】長崎県松浦市今福町(飛島)
【幼虫採集日時】2022年2月11日23:00
【採集方法】材割幼虫採集(タブの倒木)
【採集及び飼育者】T. M.
【飼育方法】無添加発酵マット使用
【羽化日】2023年3月10日
伊万里湾内に浮かぶ飛島(とびしま)は、島を1周すると6キロほど、江戸時代から石炭が採れることで知られ、昭和14年に正式に炭鉱が開かれました。現在も島の東に、その炭鉱の名残としてボタ山が小高くそびえています。島内に見られる森林は、タブを中心とした常緑広葉樹が優占種となっています。
初めて飛島に訪れたMさんは、早速、林に足を踏み入れてみると、林床に転がっている良さそうなタブ材を見つけたそうです。コクワガタくらいなら入っていそうな感じがしたので、少し割ってみると期待通り幼虫たちが現れてくれました。材は意外と硬く、浅い部分にコクワガタ、芯近くにヒラタクワガタが入っていました。経験上、本土のヒラタクワガタ(幼虫)は立ち枯れの根部に入っていることが多いため、こんな転がった材に入っていて少し驚いたそうです。その材から12頭の幼虫が得られ、そのうちの初齢幼虫1頭を育ててみました。割り出した材をエサに利用することも考えましたが、良い状態の材が少なかったため、あきらめました。800ccボトルにホームセンターで売られていた普通の発酵マット(広葉樹フレーク)をギュウギュウに詰めて、その中に投入すると、すくすく成長してくれました。本個体以外の幼虫たちは友人たちに全て分けてあげたとのことです(太っ腹でございます)。
さぁ、本個体を見て下さいませ。大アゴは短め、横幅があって良いフォルムですね。普通の広葉樹マットを餌として、1年1ヵ月でこのサイズ(65ミリ)が出てくるわけですから、飛島でも70ミリクラスが自然の中で見られるのかもしれません。このフォルムで70ミリ…自然の中で見つけたら嬉しいだろうなぁ~…幸せな妄想が頭の中に広がります…笑
Contributed by HIRO
October 7, 2024