標本DATA
【種 類】 ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus ♂
【サイズ】 体長70.1㎜ 頭幅19.9 ㎜
【採集場所】北海道斜里郡斜里町ウトロ
【採集日時】2024年8月10日 14:00
【採集方法】Looking採集(ハルニレ)
【採集者名】Y. I.
Iさんの知床遠征は今年2度目!本個体は斜里岳の麓に広がるハルニレの林で、やっと手にした特大個体になります。ミヤマの多産地で有名な道南地方と違って、道東地方(知床)では70ミリを超えるサイズは滅多に出会えない。寒い地域特有の典型的なエゾ型ですね。横幅もしっかりあって、寒冷地を生き抜く力強さが感じられます。
そんな話をしていると、寒い地域ほど体が大きくなるという「ベルクマンの法則Bergmann’s Rule」が頭に浮かびました。この法則は、「同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど、身体(体重)が大きくなる。大型種ほど寒冷な地域に生息する」という法則になります。例えば、シカを考えてみましょう。北上するほど大型化します。北海道のエゾシカは国内最大級のシカになります。北極地域に生息するシロクマは世界最大級のクマとして知られていますね。寒いほど大きくなるのは体温維持が関わっているようです。ただ、これは恒温動物に当てはまる法則ですので、変温動物である昆虫類には当てはまりません。北海道で75ミリを超える特大サイズのほとんどは道南地方で採集されています。近年、温暖化の影響なのか…道央地方でも75ミリクラスの採集例がチラホラ聞こえてきますが、数は圧倒的に少ないと思われます。道東や道北地方では、70ミリを超えるサイズはなかなか採集できないのです。是非、じっくりと写真を見ていただきたいと思います。貴重なサイズでございます。
Contributed by HIRO
2025 April