標本DATA
【種類】 スジクワガタ Dorcus striatipennis ♂
【サイズ】 36.0㎜
【採集場所】奈良県五條市
【採集日時】2019年6月21日 11:50
【採集方法】Looking採集(クヌギの樹液周り)
【採集者名】P
奈良県の五條市、桜井市周辺には、かなり大型のスジクワガタが生息しています。スジクワガタは、3センチを超える当たりから、これぞスジクワガタ!といえる特徴的な歯型になってきます。大きくなるほど、大アゴの先の方に立派な斧がグッと張り出してきます。
私は、幼い頃に捕まえた特大スジクワガタを「斧付き」と呼んでいました。といっても、斧付きを採集したことは数回だけ…あとは上翅にスジの入った小型個体ばかりでした。
幼い頃、初めて「斧付き」を捕まえた時、嬉しくて、ずっと眺めていたことを思い出します。私は昆虫図鑑をたくさん持っていました。当時…もう50年ほど前ですが…スジクワガタが掲載されていない昆虫図鑑もたくさんありました。私が一番大切にしていた昆虫図鑑は、保育社の「原色日本昆虫図鑑」でした。そこには特大とは言えませんが、しっかり大アゴに斧のついたスジクワガタの絵が掲載されていました。
だから、幼い頃から大きなスジクワガタには斧があることを知っていました。
斧付きを捕まえた時は、本当に嬉しかった。採集できた場所、採集した瞬間など、今でもその映像を鮮明に思い出すことができます。幼い頃の記憶(人間の脳)って凄いですね。
Pさんの採集個体は大きい。35ミリを悠々と超えています。立派な「斧付き」でございます。
上翅は少し赤みを帯びていて美しい。スジクワガタは黒い個体と赤茶色の個体が見られます。斧付きであれば、私はどっちも好きです。
ヒメオオクワガタやアカアシクワガタほどではありませんが、山地の少し涼しい環境を好みます。Pさんが採集されているスジクワガタのポイントも小高い山?の上にあるクヌギ林です。
標本の出来栄えは…70点ぐらいでございます。良く見て頂くとわかると思いますが、ボディのラインが左に曲がってしまいました。真っすぐに押さえたつもりだったのですが…。そして、押さえすぎて体が反り過ぎました。横からの写真を見て頂くとわかります。柔軟性の少ないクワガタにとっては「イナバウアー」並みです。また爪先の伸びがイマイチでございます。小型個体の展脚は難しい…です。
Contributed by HIRO
2023 September