標本DATA
【種類】 ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus ♂
【サイズ】 体長73.3㎜ 頭幅19.5 ㎜
【採集場所】富山県中新川郡上市町
【採集日時】2018年7月10日 18:00
【採集方法】Looking採集(ヤナギ)
【採集者名】K. S.
Sさんが2018年に採集した最大個体です。
Sさんは親切な方で、ミヤマクワガタの採集状況について丁寧に教えて下さいました。そして「是非、富山に来てください。一緒にミヤマクワガタを採集しましょう!」と嬉しいオファーまでいただきました。時期は7月前半がお薦めだそうです。それには理由がありました。7月末頃から、「オロロ」が大量発生するとのこと。
「オロロ」って??
それは「イヨシロオビアブ」の呼び名(方言)です。名前の通り体に白い帯が見られます。体長2センチ弱、夏になると北陸地方の山間部に大量発生する吸血アブです。早朝と夕暮れ時に動きが活発になる薄明薄暮型で、汗の臭いや二酸化炭素CO2を感知して集まります。蚊Mosquitoと一緒ですね。刺されると…いや…正確には噛まれると、微量の毒素が体内に入るため赤く腫れ上がります。蚊に刺されたときよりも腫れが大きく、痒みも長く続きます。厄介な昆虫です。病気を媒介するようなことはないようですが、噛まれたら患部を消毒して塗り薬で痒みを抑えるしかない…特効薬はありません。とにかく痒くなっても掻かないことだそうです。
痒くても…掻けない…これは辛そうですね…。
調べれば調べるほど、困った昆虫であることがよくわかりましたので、Sさんの指示に従いまして、訪れるのであれば7月前半に行かせていただきます。
このように書くと、「オロロ」=「悪い昆虫」と思われますね。確かに人間にとっては厄介な生きものですが、もし、「オロロ」がいなくなってしまったら、生態系バランスのどこかに支障が出てくるはずです。必要のない生きものは、この地球上には存在しません。それぞれの生きものは、生態系の中で何らかの役割を担っています。私たちはバランスの取れた生態系の中で生かしてもらっていることを忘れないようにしたいですね。
生物多様性の大切さについて、多くの人々が知る(気にする)ようになりました。私たち人間には、生きものたちと共生していくための知恵があります。その知恵を磨き続ける必要があります。
そうそう、面白いものを見つけました。富山県南砺市利賀村では、この吸血アブをモチーフにした「ゆるキャラ」がいるのです。その名も「オロロ君」…そのままの名前ですね(笑)
どんな形をしているのだろうか??少し興味があって検索してみますと…なんだかセサミストリートSesame Streetに登場してもおかしくない様なキャラクターでした。鼻がへこんでいるのはなぜ??(笑)
Contributed by HIRO
2024 May