標本DATA
【種類】 ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer ♂
【サイズ】 64.7 ㎜
【採集場所】鹿児島県熊毛郡中種子町
【採集日時】2021年8月20日15:30
【採集方法】Looking採集(タブ)
【採集者名】Sumiya OOKAWA
種子島在住の大川さんは、この地域で長く採集を楽しまれています。大川さんの話によりますと、このサイズのヒラタクワガタには、なかなか出会えない。6センチを超えるくらいから少なくなります。大川さんの種子島採集Guinnessは68ミリとのこと…それは凄い!
近年、昆虫の発生時期などが年々、変化し気候変動の影響が気になるそうです。
真冬でも活動しているコクワガタやヒラタクワガタを見かけることがあり、暖かい種子島もさらに温暖になっていると実感できるとのこと。
大川さんは、外国産の巨大なヘラクレスや美しいニジイロクワガタなどを趣味でブリードされています。笑顔の子どもたちを見たくて、飼育した外国産昆虫たちを事あるごとに披露しているそうです。ただ、もし逃げ出したら、そのまま繁殖してしまわないだろうか?…と時おり心配になるそうです。
実際に、ヒラタクワガタ系は簡単に交配して雑種が生まれます。ホームセンターなどで夏になると必ず昆虫コーナーが設けられますね。昔はカブトムシ、クワガタムシが入った昆虫ケースがズラッと並んで売られていました。その風景は今も一緒ですが、中身が変わってきました。スマトラ産のヒラタクワガタが昆虫ケースに入れられて1,000円ほどで販売されているのです。その光景を見る度に、私も不安になります。お手ごろな価格!知識のないお母さんが、子どもさんが欲しがるので買いました。子どもが飽きちゃったし、可哀そうだから自然に返してあげましょう!と森に逃がしてあげる。命を大切にすることは良いことです。ただ、私たちは知っておかなければなりません。日本の地(島国)で脈々と受け継がれてきた日本のヒラタクワガタの形状が、外国産遺伝子の流入によって大きく変わってしまう。一度、入ってしまうと取り返しがつかなくなります。私たち人間は、自然環境に大きな影響を与える力を持っているのです。そのことをよく理解して、私たちは責任ある行動をとらなければなりません。地球環境のため、そして、巡り巡って私たち自身(人間)のためにです。環境教育は今後、もっともっと大切になってくると思います。
このProject WILD Museumは、日本産のクワガタにこだわって展示しています。私たちの祖国の魅力的な昆虫(クワガタ)たちを、もっともっと知っていただきたいです。
Contributed by HIRO
2024 June