Manners

採集マナーについて

Manners of Stagbeetle Hunting

この展示のねらいは、ABOUTでお伝えしていますように、日本の文化である昆虫採集を大切に思っていただきたい。

子どもたちに自然体験の機会を提供するアイテムの一つとして、昆虫採集は素晴らしい手段だと思います。

 

ちょうど私が大学生の頃だったでしょうか…魅力的なクワガタを採集したい、手に入れたいと思う方が少しずつ増え、2000年に入ると島々に生息するクワガタが驚くほどの高値で取引きされはじめました。純粋に採集したい方も多いのですが、節度なく採集しお金儲けに走る方もいらっしゃいました。

そんな状況の中、2004年のトカラノコギリから始まり、多くの島々に生息するクワガタムシが種の保存法や島の条令などによって採集規制がかけられました。現在ではかなり多くの種類が保護種に指定されています。

今後、本Museumにおいて採集禁止のクワガタムシも展示予定です。

とても残念ですが、規制がかけられたクワガタムシは採集できません。

昆虫採集は積極的に推奨しますが、ルールを守って楽しんで下さい。

ルールを守らないと…例えば…

種の保存法の国内希少野生動植物種に指定されたクワガタムシは日本国内で3種類!

南から与那国島、沖縄本島(ヤンバルの森が中心)、請島に生息するマルバネクワガタです。

運良く見つけて、ついつい手を出してしまうと5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金が課せられます。罰則の厳しさに面喰いますね!それぐらい厳しい規制がかけられています。

 

お伝えしたようにクワガタに対する採集規制がどんどん増えてきています。

南の島へ家族旅行!お子さんと昆虫採集を楽しもうと考えられている方は、最新情報をしっかり確認されてから虫網を振り回して下さい。種類はもちろんですが採集規制がかけられている場所(地域)もありますので!

 

さて、ここまでは、遠い場所まで採集に行ってみよう!という感じの…上級者向けメッセージでございました。

ここからは、夏の風物詩!ファミリーで採集を楽しまれる方々へお伝えします。

採集の上手な方がいらっしゃいます。是非、根こそぎ採らないようにして下さい。

お子さんと飼育されるのであれば数匹確保すれば十分ではないでしょうか。

採卵を目指すのであればメスは必要ですが、これも数匹で十分だと思います。

コレクターとして標本を集めるのでしたら、大きな個体だけ、または特別なフォルム(形状)を持っている個体だけで良いのではないでしょうか?

私の考えを押し付けることはできませんが…特にメスはリリースしてあげて下さい。

標本として残したいメスや採卵(累代飼育)のためのメス以外は逃がしてあげて下さい。

リリースしたメスはたくさんの卵を産んでくれると思います。1~2年で成虫になりますので、来年、再来年とクワガタ採集を楽しむことができます。

オスも必要な分だけの採集にとどめて下さい。

そんなちょっとした配慮で、生息環境さえ残っていれば、このサイトのトップ画面にある樹液酒場!この映像のような光景を毎年、楽しむことができるのです。

ただ眺めているだけでも楽しい。

この映像は2020年8月2日に神奈川県の山の中で私が撮影したものです。

1時間以上、ボーっと眺めておりました…チコちゃんに怒られそうですね(笑)

 

もう一つの採集マナーとして大切なのは、生息環境を壊さない!

クワガタが集まる木をできるだけ傷つけないこと!

身近なクワガタの代表格であるヒラタクワガタやコクワガタは、洞などの隙間を好みます。木の皮をバリっと剥がしてしまうと、大切な住処がなくなってしまいます。隙間に大きなクワガタが逃げ込んでしまうと、木の皮を剥がしたくなる気持ちはよ~くわかります。それをグッとこらえて、来年も楽しめるように、剥がさずにうまくピンセットなどで引っ張り出して下さい。ダメだったらクワガタの勝ちです。また時間を空けてトライするなど!とにかく壊すことはやめましょう。

できるだけ生息環境に負荷をかけずに採集するのがProfessionalだと思います。

 

また、南の島々では、多くの方がバナナトラップを使って採集されています。

今年(2023年)も仕事で沖縄に行ってまいりました。那覇空港に近い末吉公園を散策していると、けっこうな数のトラップがそのまま放置されていました。メッシュ状のビニール製の袋です。これはゴミです。ゴミがたくさん木に巻き付けられている。景観的にも非常に悪い。

採集が終わったら、仕掛けた人は回収しなければなりません。当たり前のマナーだと思います。

サッカー会場でゴミ拾いをするなど、日本人のマナーの素晴らしさに世界から賞賛の声が上がりました。とても誇らしく思いました。

クワガタ採集を楽しまれる人=生きもの好き

生きものが好きな方に悪い人はいないと思っております。

ルールとマナーを守る日本人は素敵です。COOL!

 

昆虫採集を通して、素晴らしいワクワク体験を毎年楽しみたいですね。

皆さんがマナーを守ることで、いろんなことがplusになります。

 

この歳になっても、自然の中でクワガタに出会うと、なんでこんなに嬉しいのだろう!

思わず笑顔になります。

子どもたち、そして大人にとっても素晴らしいリアルな自然体験、Hands ON体験となります。

そして、そこには必ず、「学び」があります。

【執筆者:川原 洋】

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